ロシア版MATRIXといわれる一作。月極めレンタルで。
あらすじは省略(苦笑)。
ロシア版MATRIXといわれているそうだが、それは主に視覚イメージのカットと、連作長編の構造を持っている、という部分だろう。
内容的にいえば、そのおおよその作風というのは、菊池秀行氏あたりの小説からエログロを抜いた感じの伝奇もの―あえていうならMATRIXよりもアンダーワールド的な世界に近い。
そうは書いたが、実はもっと面白いのが、そのディティールのモチーフがいい意味で古く、個々の設定的なものに平井和正作品的な要素がけっこうあったところ。
(これはあくまでも設定としての要素で、受ける印象はまた異なる)
「獣人」「異界」「死を蒔く女」「光と闇の幾百年にまたがる戦い」etc・・・。
逆に言うとこれらの設定というのは、設定そのものだけを取れば、ありふれたものでもあるということだろう。
そこからどう自分の色を乗せて、観客をあっといわせられるか。
そこが”作家性”ということだとも言える。
いい意味で話の骨子は’70年代的だ。
ただ、それを古さを感じさせずに今風にアップデートしてあるので、このレベルで巷間に取り上げられたんだろう。
物語には二つの柱が錯綜するが、メインとなるエピソードのほうがどこか”ワルプルギスの夜”を思い出させて面白い。
(こちらのほうが製作年はずいぶん前だが)
そしてその”呪い”と呪いの”原因”の持ってきかたは、ある意味先端だね。
母子カプセルの一番普遍的で一番やっかいなものをちゃんと持ってきている。
(ただし作中でそれはあまり深く触れられていないし、ウェイトもおかれていないが)
何作かシリーズ物が出ているらしいので、機会があれば見てみようと思う。