『魔夜峰央原画展』@明治大学 米沢嘉博記念図書館

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昨年から展示を入れ替えつつ開催されていたのは知っていたが、ついつい先延ばしにしていたところ、先の連休最終日で終了とのことで急いで行ってきた。

『パタリロ』や最近では『翔んで埼玉』で著名かと思うが、その独特の画風もあって確固たる存在感を保ち続けてきた魔夜峰央氏。画業も45年になられるとのこと+パタリロが100巻達成とのことで今回の展示となったようだ。





世間的にはその耽美な画風やらパタリロを代表とするギャグマンガ的なところでの認識が大きいと思うが(その部分も大好きではあるんだが)、個人的にいちばん引き込まれるのは氏の描く妖怪やら異形の者たち、そういったオカルト的な作品。

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ただし氏のそれは巷にはびこる安っぽいどろどろとしたオカルティズムではなくむしろ耽美的なそれで、ポーの挿絵で有名なオーブリー・ビアズリーとかそういった系譜に収まる作家さんだと思う。(もちろんストーリーテラーやギャグマンガとしてもべらぼうに面白いのは『パタリロ西遊記』等の番外編を読むと顕著にわかる)



今回は会期的には最後期ということで「ミーちゃん=魔夜氏自身」の作中での登場・その変遷がテーマだったが、それでも十分うならされる原画のすごさよ・・・。


そして特筆しておくべきは、昨今のデジタル制作環境では考えられないペン画・黒ベタの美しさ、すばらしさ!以下の雨に煙ってぼやけるシルエット的なものは氏の作品ではよく出てくる表現なのだが、こういうペンだけで描かれたぼかしというか独特の雰囲気はトーンやデジタルでの描画ではおそらく出すことはできないと思う。


このようにアップにすると当然荒く見えるが、それがちゃんと人の手に取った距離での視点だと素晴らしく臨場感にあふれた一コマに変わる。ペン先のマジックだなあ・・・。


また以下のような独特の枠線というか額装というかのスタイルも独特で、結局こういった描写の後継者があまり出てきていないというのも、氏がやはりワンアンドオンリーの作家さんであるという確固たる証だろう。


個人的には前述のようにオカルト寄りの作品―それもアスタロトシリーズが大好きなので、該当の展示の期間に行けなかったことが悔やまれる(泣)。作品自体も未完ではあるのでできれば続きが読みたいんだが、それもなかなかむつかしそうだ。

あと今回の会場となっていたのは明治大学の米沢嘉博記念図書館。マンガ文化に力を入れていることで知られている明大の長くコミケの運営に尽力された方の名を冠した場所である。以前から気にはなっていた場所だったのでようやく拝見できて満足。(ただ予想していたよりもさらに一回り小さかったのは驚きだった―立地を考えるとある種当然か)

あ、そうそう。今回行きは地下鉄の神保町駅から向かったんですが、こういったサブカル系で有名な高岡書店も閉店だそうで。
そういうところにも時の流れを感じますな・・・。


※あと会場に復刻のトランプカードの校正用?のカラー刷りのものがおいてあったがめちゃくちゃ綺麗だった・・・ほしいなあ・・・。



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