Aimer special concert with スロヴァキア国立放送交響楽団 “ARIA STRINGS”/Aimer (2018.6.21@Bunkamura Orchard Hall))

標準

実家のほうで地震のあった前後で気分的には微妙ではあったのだが、チケット買っちゃってるし、オーチャードホールだし、なかなかチャンスのないオーケストラとの組み合わせだし、ということでえいやっ!と観にいってきた。

結果、バックがオーケストラ故の発見もあり、生オケならではの迫力のある場面もありで、非常に見ておいてよかったライブだった。




最初に少しだけネガティブな面を書いておくと、実は一部の曲ではあまりアレンジが感心しなかったり、指揮者の進行のピッチが速すぎると感じる局面もあって、課題点もみえるライブではあった。

しかしAimerさんご本人によると「一つ念願の夢がかなった」とのことだし、指揮者の方もその声を高く評価されていたとのことなので、そこは良しとする。このあたり国内のこういったカジュアルなコンテンツに慣れているっぽいオケでもなく、本来クラッシックを専門とする(ましてや日本語に縁のない)海外オケということを考えると不可抗力ともいえるしな。その代わりといってはなんだが、前後の幕それぞれの冒頭で『G線上のアリア』?と『モルダウ』という本来の素晴らしい演奏を聴かせてもらえたので、ここはトータルプラマイゼロということで(笑)。

全体としては幕間20分の休憩をはさむ二幕構成。上述のようにそれぞれ冒頭はクラッシックの古典から入り、その後、クラッシックアレンジされたAimerさんのナンバーがつづくという体裁。MCはそれぞれの幕ごとに冒頭よりのタイミング+要所要所でいくつか入ったが、全体として控えめ。二幕目からはAimerさんのツアーバンドからキーボード、ギターのお二人も加わるという構成だった。

選曲は比較的初期のナンバーや普段のライブではあまりチョイスされることが少なかったナンバーが多めに選ばれている印象で、その点でも新鮮味が感じられて面白かった。

前述のようにアレンジがしっくりこない曲もあったが、それはクラッシッククラッシックしたベタなアレンジにしておらず、逆に言えば主役であるAimerさんの「歌」を大事にしたアレンジだったといえるのかもしれない。そのせいか生オケならではのスケール感がやや抑えられ、非常に静か目のアレンジが多かったように思うのだが、澤野作品のライブなどで轟音のバックにも負けずに歌いきるAimerさんの地力を知っているだけに、ファンとしてはその気づかい(?)がかえって隔靴掻痒で「ぐおおおお!?」な感じに(苦笑)。

で、面白かったのはそういった隔靴掻痒感を吹き飛ばしてくれたのが『花の唄』『誰か、海を。』『RE:I AM』という梶浦・菅野・澤野という劇伴作家の作品ばかりだったということ(笑)。

これはもうはっきり音的に顕著だったので、原曲がそういう作家の作品だというのが分かるのか、あるいはおのずとそういうアレンジになるのか―ある程度予測はしていたが、ここまではっきり出るとは正直びっくりだった。(確か『誰か~』に続いてやった阿部真央による『Words』もそれに準ずる迫力だったので、外部作家の作品のほうがこういう傾向出やすいのかもしれない)

その中でも個人的なクライマックスだったのは「私に力強さというものを与えてくれた曲です」とのMCにつづいて披露された『RE:I AM』。

この曲はご存知のようにライブでも繰り返し歌われてきた曲で、自分もすごく聞きなれている―いわばおなじみの一曲なのだが、ここまで迫力が変わるとは思わなかった。もちろんいつものバンドバージョンも迫力あるのだが、なんだろう、歌ってるAimerさん自身のスタンスが異なっていることもあるのか、すごく新鮮で、普段のバンドバージョンをある意味越える素晴らしいテイクだったと思う。なぜかこのテイクを聴いてから自宅でシングルバージョンの『RE:I AM』聴いても聴こえ方が違っていて、こういうこともあるんだなあ・・・と、また一つ音楽の不思議さに触れた気分。

ステージは個人的にも好きな『DAWN』で二幕目が〆。場所柄スタンディングオベーションも発生し、オーケストラ側が少し戸惑っていたのが面白かった。(その理由はなんとなく想像できるのだがw)

そしてアンコールではオーケストラは去って、前述のキーボード+ギターでの準アコースティック構成での気さくな感じに。ここではたしか『カタオモイ』と『小さな星のメロディ』の二曲を。『小さな~』のほうはMCによるとたしかライブでは初披露とのこと。この曲はAimerさんのコケティッシュな一面が見え隠れして、なにげに隠れた佳曲だと思っていたので、生で聴けてうれしい限り。

そして例によって観客席に手を振りまくり、ぴょんぴょん移動しまくりで観客にお礼の挨拶をしまくるAimerさん(笑)。非常にほほえましい光景なので、この場面はいつ見てもほんわかする。

いろいろと微妙なタイミングではあったのだが、観にいっておいてよかった。
Aimerさんご自身の弁によると、これで一つの夢がかなったことに加えて、ぜひもう一度オーケストラをバックにやってみたいとのことなので、今回見逃された方も”次の機会”があるだろうと思う。

個人的には次もあればぜひ観にいきたいと思うし、今度はぜひ国内のオケとも組んでみてもらいたいと思う。

ということでなかなか見ごたえのあるよいライブでした。



BEST SELECTION “blanc
BEST SELECTION “blanc”

posted with amazlet at 18.06.26
Aimer
SME (2017-05-03)
売り上げランキング: 511
BEST SELECTION “noir
BEST SELECTION “noir”

posted with amazlet at 18.06.26
Aimer
SME (2017-05-03)
売り上げランキング: 562
Aimer Live in 武道館 “blanc et noir
SE(SME)(D) (2017-12-13)
売り上げランキング: 602




コメントを残す