ニーア オートマタ(PS4)/スクウェア・エニックス

標準

昨年けっこう人気だったらしい一作。自分もビジュアルや世界観的なものは気にはなっていたので、年末年始のPS Storeにてセールになっていたのを機にダウンロード版にて。

結果、悪くはないゲームだったがいろいろと自分的にはしっくりこないところが多かった。

いちおうメインと思われる3つのルートはクリアしたのでレビューしておく。

ニーア オートマタ - PS4
スクウェア・エニックス (2017-02-23)
売り上げランキング: 211


人類の滅びた地球で、月へと脱出した人類の帰還を実現するために地上を埋め尽くすロボットたちと戦い続けるアンドロイド部隊、その戦闘員である2Bと9S、そしてなぜか部隊から逃亡し、一人双方と敵対し戦っているA2。それぞれの視点で3ルートを体験すると物語の全貌が見えてくる。

で、アクションや演出などはさすがプラチナゲームズ、派手かつメリハリのきいた感じで悪くないし、操作系も比較的ストレス少なくほどよいバランス。ただ個人的に一番趣味に合わなかったというか感情移入できなかった最大の原因がショタ型情報収集アンドロイド9sくん。彼のキャラ設計が全然シンパシーを感じられなかった―にもかかわらず主役の2B視点からは思い入れのあるキャラとして演出されているので、2B視点でのルートの際に盛り上がる演出されても全然気分がノッてこないという。またそういう特定のキャラに対するネガティブイメージがあったせいもあるんだろうが、全体的に相互のキャラ同士の絆の構築演出が弱いとも感じる。まあすごーく雑にいうなら「オネショタは自分の趣味じゃありません!」とばっさりいってしまってもいいのかもしれないが(苦笑)。

またシリーズものということもあって、そういう部分の描写がひょっとすると省略されているからかもしれないのだが、敵対するロボットたちのデザインや主人公サイドとの関係性がいまいち「?」という感じ。主人公たちアンドロイドのヒューマンライクなビジュアルに対してレトロフューチャー的なデザインの敵ロボット勢だが、そこに愛だの感情だの演出されても(表情がないデザインというのもあって)あまり感情移入できない。けっこうロボットたちが人間的に狂ったり嘆いたり憎悪をたぎらせたりという演出があるのだが、そこまでの演出の弱さもあってどこか他人事のような印象。なのに感情移入できるアンドロイド側はそのロボットたちの感情描写よりもさらに演出的にはぺらかったり唐突に過剰だったりバランスの悪さを感じる。
(それでいえば主人公2Bたちのゴス衣装もナゾっちゃ謎よな―いえまあある意味みせパン的なもんだとは理解してるので野暮なツッコミかとは思うんですがw)

で、いちばん感情移入できそうだったのはラストエピソードの主役のA2とそのサブシーケンスとして挟まれるポッドたちの会話くらいか。

総じて脚本・・・というか物語の世界観としては悪くないし、むしろ好きな感じのそれなんだが、物語へのインターフェイスとしてのゲーム・演出の部分で損している感じの一本であった。

あと何気に操作系も細かいところで惜しいところが多々あり。一つにはサブ情報ウィンドウのようなものが画面右下に開くのだが、位置的に微妙に見づらい。ここがフロー化というかカスタマイズできるなら少しありがたかったのだが。あと戦闘シーンは「一対多」のゲームの宿命なので不可抗力ではあるが、あまり戦術的な行動は操作的にできないわな。(普段格ゲーやってるとコントロールできない戦闘挙動というのはちょっと気色悪い―結果あきらめてレバガチャ的に勢いで押し切るしかない)。しかし世間様的には不評だったらしい9Sのハッキング戦闘は個人的には嫌いじゃなかった―むしろ好きw楽でwww(キャラにはまったく思い入れできなかったがルート的には一番楽だったかも、2週目に相当する9sルート)

とまあぶつくさ書きはしたが、なんだかんだで最後までいちおうやったということはそれなりに面白いゲームだったと思うし、世界観―というかその舞台である各マップの造形は嫌いじゃなかった。

そう、総じて言えることなんだけれども、部分部分は非常にすばらしい要素のある力作だと思うんだが、それが制作者の思うほどは相互にかみ合ってない感じといえばよいか。結果、本来期待できたレベルより若干おちてしまって、幾分チープになってしまっているように思う。そういう意味ではけっこうもったいない一本ではあると思う。

ただこんな細かいところに屁理屈こねずにのめりこめるタイプの方には美麗なデザインとほどよいゲームバランスで悪くない一本かと。興味のある方で未プレイの方はぜひどうぞ。

ニーア オートマタ - PS4
スクウェア・エニックス (2017-02-23)
売り上げランキング: 211

コメントを残す