10年後世界が壊れても、君が生き残るために今、身につけるべきこと 答えのない不安を自信に変える賢者の方法/山口 揚平

標準

もろ手を挙げて文中に感じる”テイスト”を歓迎するわけではないが、その誠実なスタンスは好感できる山口揚平氏の新刊。

けどタイトル長すぎw

いわゆる経済寄りの自己啓発系本におおいメンターとその弟子を登場人物とし、物語的にメンターから弟子への指導を通して読者へ語りかけるタイプの本。
著者・山口氏としてはこういう体裁は初めてになるのかな?

今回はそういう体裁をとったことでか、もともと著者の持っている良くも悪くもナイーブでとのすればスピリチュアルにすら感じる傾向がやや色濃く出ているが、この著者の場合あまり決定的なマイナス要素にはなっていない-これはもともと金融畑という修羅場で働いてらっしゃった経験があるからだろうか。そういう意味ではこの部分に関してはある種の「フレーバー」とか「テイスト」としてとらえておけばいいだろう。

逆にそういう「テイスト」や「フレーバー」に気恥ずかしさを感じない若い人たちにとってはすごく読みやすく、この手の書籍としては格好の入門書となるのではないか。

なにしろ上述のようなテイストの部分を抜けば、社会的起業というかビジネスモデルのパターンや今後の社会の変遷に対してどういうスタンスで経済的基盤を築いていけばいいのかというような指針にとどまらず、パーソナルなところからはじめてある種人生の究極の課題でもある対人関係についての捉え方・考え方も提示している。

ある種メガ盛り・てんこ盛りというか(笑)。

そういう意味では、ある程度年配の方にとっては物語形式という事も相まってすこし掘り下げが浅く感じ、不満を覚えられるケースはあるかもしれない。
しかし繰り返しになるが、いままでこういったところへ視点を向けていなかった・全く知らなかった方々や、大学生や社会人数年目という人たちにとっては、非常に有意義な知識をコンパクトに、そして(物語形式という事もあって)すごく読みやすくまとめてあると思う。

個人的にはまったく関連性はないんだけれども、なぜか梶尾真治氏の小説を読んだ時のテイストと近いものを感じてすこし面白かった(笑)。

この山口氏の著作はこれまで数冊読んでいるが、基本すごく誠実な方なんだろうな、というのがどの著作からも伝わってくる。

まあその誠実さの部分が上述のテイストやカラーにつながっているので、その良し悪しはあると思うんだが、こういった系統の本で嫌な感じがしない、なにか裏がありそうなアクの強さを感じないというのは、非常に貴重な書き手のお一人かと思う。

加えて実際的な知識の部分に関しては非常にしっかりとしたものを丁寧に語っている印象。

若い方や、この手の知識を勉強しようという女性の方にはオススメできるのではないかと思う一冊だった。
上述のテイストの部分が気にならないようなら読んでおいて損のない一冊。



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