Parott AR.Drone 2.0 Power Edition

標準

昨今物騒な感じのほうで話題になってしまっているドローンだが、自分も実は仕事の絡みで昨年秋ごろ購入して何度か使っている。

ほんとうは昨年の導入前後で記事を上げたいな、と思っていたのだが今回話題になっているように実はこのドローン、飛ばすための「環境」がすこぶる難しい。もう少し使ってから・・・と思っているうちにずるずると日がたってしまった。

しかし今回再度使う機会に加えいろいろと騒ぎもあったので、そのあたりも含めて使用感をレポートしておきたいと思う。

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自分が所有しているのは、おそらくこのドローンというジャンルを一躍ポピュラーにしたであろう仏Parott社のAR.DroneのVer2.0 Power Edition。なにをもってPower Editionなのか実はよくわかってなかったりするのだが、バッテリパックがデフォルトで2パックついているのでそういう事でよろしいか(笑)。

自分が購入した2014年秋ごろだと価格は4万円ほどだったのだが、Amazonでみる限りいまも価格はそう変わっていないようである。

固定とはいえHDのカメラをもち、iPhoneやAndoroidのスマホやタブレットにアプリを入れることでコントローラー代わりにし、コストを下げている等、いま現在でも入門機としては最適な機種の一つではないかと思う。ただしデカいw
(ピザの宅配ケースをひとまわりふたまわり大きくした感じか)

基本、上記キットにはドローン本体+屋外用&屋内用ハル(外装)+交換用カラープロペラ+バッテリパック+専用充電器といった構成。基本このパックにスマホがあれば即フライトは可能だ。本体のカメラでは静止画および動画が撮影可能で、スマホへの転送や、本体側に大容量のUSBメモリを接続することで長時間の動画撮影も可能。

コントロール用のアプリは専用のアプリがAppStoreやGooglePlayからダウンロードできるのでそれをインストールする。基本版は無料だが、ディレクターモードというプラグイン?的なものには数百円必要。ただこのプラグインは必須というほどのものでもないように思う。

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AR_Drone_ios_02アプリのメニュー画面。

iPhone、iPadどちらでもいけるがiPadのほうが圧倒的に視認性は良い。


スマホとのペアリングはWi-Fiで行う。充電したバッテリを本体につなぐとPowerOnSelfTestを行った後、ドローン本体がWi-Fiの親局として機能するので、スマホ側からドローンの親局を見つけて接続、子機としてプライベートIPを振り出してもらえばインストールしたアプリから操作が可能である。
(この際Wi-Fiで接続後、すこし待たないとIPの振り出しが完了しないのか、アプリから認識されないこと多々あり―少し待つか複数回トライすると問題なくアクセス可)

操作に関してもスマホやタブレットのアプリを起動すると、コントローラーライクな画面に切り替わり、離陸するのも「TAKE OFF」ボタンで一発。あとは画面上のジョイパッド的なもので操作し、着陸時には「LANDING」ボタンを押すだけで自動的に着陸してくれる。

上記のようにハル(外装)は屋内用・屋外用と2種付属しているが、人がいるところでは野外であっても屋内用ハルの装着が無難だろう。というか屋内用とあるが、おそらく日本の室内では飛ばすのに向く環境はほとんどないと思う、なぜか?―でかいし、うるさいのよ!?、このドローンw

まあ考えてみれば当たり前な話で、ドローンドローンと言ってはみても所詮はラジコンヘリ。おまけにクアッドコプター(ローター4基)なのでぶおぉぉぉぉおとすごい音がする。自分も最初のテストは室内でやったが、6畳一間の和室ではホバリングだけで精一杯ですよ(苦笑)。

で、こういった理由からも屋外での飛行を・・・ということになるわけだが、まずほんとうに都内となると飛ばすところを探すのが難しい。

いちばんいいのは新宿御苑など広めの公園かと思うのだが、おそらく御苑はこういったものの持ち込み禁止。
で、近場の公園となるとなかなか大きなところはあるようで少ない。くわえてドローンの特性から、できれば平地が大きく開けているところが良い(理由は後述)。なのでこれだけ話題になっている割に、じつは車持ちで郊外へすぐ行けるとかの人でないとあまりオススメできるアイテムではなかったりするのだ。

その理由のひとつには、思ったほど機敏には動いてくれない操作性がある。

これは価格と構造から考えてみれば明らかなのだが、クアッドコプターは4基のプロペラを個別にコントロールして位置を変えたり上昇したりする。加えて低空なら地面との距離の関係でまだ比較的俊敏な動作をしてくれるが、高度が上がれば上がるほど機敏な動作はほとんど期待できなくなる。加えて風の影響がさらに強まる。

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(プロペラ部分にしっかりガードがある屋内用ハル)

なので特に撮影という事を考えると、決め打ちで「こういうラインを走らせて撮る」とか「上空に静止させて回点だけさせる」という撮り方にならざるを得ない。
おまけに撮影機材として考えるのなら上昇や移動、対象への接近など、固定カメラなのですべて画面自体の揺れを伴うのだ(当然のことながらパンやズームの機能は非搭載である)。

※もちろん、単なる「撮影も」できるラジコンヘリという事でみるならこの限りではない。

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(屋外用ハル―強風などの時はこちらでないと機体のコントロールがかなり難しくなるが、プロペラむき出しなので人のいるところではちょっと勇気がいる)

しかしそうはいったもののさすが話題となる商品だけあって、実はその他の部分はなかなか素晴らしい。
自分はまだ試したことはないんだけれども、プリセットでの空中一回転飛行だとか、オプションでGPSパックを搭載すれば指定した位置へ飛んでくれるとかもできるそうだ。

ただなんと言っても、そういったトリッキーなところ以外ではっきりとわかるのはその上昇力の素晴らしさだろう。これはやはりなかなか体験できるものではないと思う。

以下は昨年、仕事での撮影終えた後に操作に慣れないといけないこと痛感して二子玉川の河川敷で練習してた際の動画だが、最大18メートルまで上昇させたときのもの(設定高度はもっと取れるが飛ばす場所をかなり選ぶ)。ほぼ無風だったが、さすがにこの高度ではトリッキーな動きはできず―というか基本高度があがればあがるほど感覚的に操作は難しくなる―ほぼ上昇だけだが、これが出来るだけでもすごいものだ。

(どこまで上がれるか挑戦した際のもの―しかし画的に高さの感覚はまったく分からないw ※音無し)

そして見て頂ければよりはっきり分かると思うのだが―実はこれもこの手のドローンの大きな弱点の一つなのだが―実はあまり高高度での撮影というのはインパクトのある画を撮りづらかったりする(笑)。この動画の1:40~1:50あたり、画面中央やや左側の縦長のビルの奥に自動車専用道路が見えるころが18メートル到達なのだが、画面だけからはわかりゃしねえw

これはこんなに高度を上げなくても7~10メートル程度でも同じだ。要は高度を感じることのできる比較対象となるものが写っていないと、さっぱりその高さは分からない(体感できない)。となると高いとこからならではの静止画を狙いたくなるわけだが、実はそういう画を撮るにもカメラが固定カメラなため、高さを出すために下を向こうとすると機体がぐらぐら揺れるわけである。

また、機体が揺れるということで一点書いておくと、意外とベースとなる地面というか滞空場所の地形の影響は大きく受けるようだ。さきほど「できれば平地が大きく開けているところが良い」と書いたのはそういうわけである。

これまで何度か操作していて、無風なのに「機体が傾くな~」とか「機体が流れるな~」という時は、意外とベースとなる地面の部分の地形が傾斜になっていたりなだらかな丘陵になっていたりしていた。このあたり4基のプロペラの回転数などで調整しているんだろうと思うが、高度が上がれば上がるほどそのあたりの”効き”は鈍くなるという事だろう。また当然ながら周りに木が生い茂っていたり、障害物となるようなもの(電柱や電線)があるとそこにかなり気をとられる=機体の挙動に影響する。横風などは言わずもがなだ。

ただ、この機体の傾きやコントロールのしづらさというのはバッテリーがあがってきたときにも共通するので、そのあたりはその時その時でモニターしている数値で判断するしかない(コントロールアプリには高度やバッテリー残量なども表示される)

(バッテリーダウンで墜落する際の様子 ※音無し)

こうは書いたが、飛ばせる場所やはっきりと撮りたい対象が決まっている等の場合はすこぶる面白いガジェットかと思う。また上の動画の冒頭のように、意外と低高度でトリッキーに飛ばしたほうが画としては面白いものが撮れるように思う。そういったところからも今後もっともっと改良された商品が出てくることは期待できるだろう。

ただここのところ話題になっているように、悪用しようと思えばかなり悪用もできる道具でもある。

添付の動画を見て頂ければわかると思うが、道路や線路の近くでも現状では飛ばせてしまうのである。悪意をもった人物がそういったところへドローンを突っ込ませるだけで公共交通機関は簡単にマヒしてしまう事も考えられるだろう。

個人的にはいま検討されているような「免許制」というのは利権の臭いがするので正直どうかと思うのだが、「飛行禁止対象エリア」的なものを決めて、そこで意図的に飛行させるのは罰則を設けるぐらいはしてもいいと思う。

自身で使ってみて楽しい道具だというのもわかったし、将来性の大きさも感じていただけに、ここんところ騒ぎを起こしてくれたドローンおっさんとドローン小僧のかまってちゃんコンビには脳天踵落としを個人的にはプレゼントして差し上げたい気分ではある。

ただ遅かれ早かれ規制的なものは必然とも感じていたので、来るべくしてきた流れではあるのかな。

とはいえ、その将来性や楽しさというのものはこういった規制によってなんら損なわれるものでもないとは思うので、触る機会のある方はぜひ触ってみられることをお勧めする。

単純に楽しいですよ。

機会があればぜひ!







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