教科書には載っていない 日本軍 激闘の真相

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先月末に広島へ行った際に帰りの新幹線で読む用になにかないかなーと駅のキオスクで。

教科書には載っていない 日本軍 激闘の真相
日本軍の謎検証委員会編
彩図社
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明治以降の大日本帝国各軍の誕生からその終焉までを、周辺情報とあわせて簡便にまとめてある一冊。
こういう本って興味のある人以外からは偏見の目で警戒されそうなジャンルではあるが、やはり知っておくべき内容だとは思う。


表題から想像するよりも、非常に分かりやすく簡潔にまとめてある一冊だった。
その成立からはじまって日清日露の両戦争の勝利という成功体験の光と影、そして結局は社会の表には出にくい貧しさや、それをなんとかしたいという気持ちや無自覚な奢り、官僚組織化していく過程での硬直化・・・そういったものが読んでいて、漠然とではあるが見えてくるようだった。

かなり引き算で書いてある部分もあるとおもうが、結果的にそれがよいバランスを保っている一冊といっていいだろう。
以前のような自虐史観に引っ張られまくっているだけでもなく、評価すべきところは評価して書いてあるように自分には読めた。

ただあくまでも、本書一冊だけでは概論だけ―というかアウトラインをたどれるだけとも言えるので、これを足掛かりにして自身でもう少し調べるなどは必要だろう。
しかしそのための入門書としてはよい一冊かと思う。

この手の本を読んでいておもうのは、やはりその主要な出来事を理解するには周りの状況とか、当時の世間の空気といった、ついつい脇に見られがちな要素の重要性。
そういったものを少しでも頭に入れてメインディッシュたる事件や戦争を読み取っていかないと、結局は「なぜそうせざるを得なかったのか?」ということを読み取れない。
そしてそれをしないと、あれだけの大きな犠牲をともなった歴史・時代的な大きな流れから読み取るべきものが、全く意味のないものと化してしまう。
細部にこそ真実は宿る。そこからこそ教訓とすべきものは読み取れるのだろう。

本書はそのための呼び水、というかガイド線を引くにはもってこいの一冊だった。

もう少しディティールを―とくに軍事作戦のそれは―自分で詰めてみたいとは思う。
けどなかなかいい資料ってないのよなぁ・・・あっても高いし。

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