最近旧知の方からスポットで仕事振っていただいて、ちょっくら単発のお仕事してきたんだが、お金って稼ぐのってたいへんだー(ぇ
2回以上、起業して成功している人たちのセオリー (アスキー新書) [新書]
博報堂ブランドデザイン (著)
博報堂ブランドデザインによる、連続して複数回の起業に成功している企業家7人+14人=21人のインタビューと、そこから導き出される、起業を成功させるために必要な法則性をまとめた一冊。アスキー新書での出版だが、帯に博報堂ブランドデザインブックスとあり、ある種のレーベル的なシリーズの模様。
べつに起業しようなどとは思ってなくて、しかし最悪のケースを考えておくなら、自分で稼ぐ方法も考えておかなければいけないわけで、なにかヒントになればなーと思い購入。
7名の詳細なインタビューと14名のショートインタビュー的に加え、最後に本書の著作者である博報堂ブランドデザインによる分析とまとめという構成。
ぶっちゃけ、本書の大半を占める7名の連続企業家のインタビューを読んでみても(それぞれ非常に興味深い内容ではあるものの)、そこになんらかの法則性といったものを見て取るのは、非常にむづかしい。
しいて言えば、なんだかんだいって「環境」だよなあ、というのが率直なところ。
やはりなにかしら(家族なりそういったもの)の「ピンチ」を経験していたり、育った環境がそういったものに親しみを持てる状態だったように、一見読める。
(これはよくありがちな凡夫ならではの無意識の嫉妬というのもあるかもしれない、そこは差し引いて考えておいてほしい)
その上で、まとめの方にもあるが、そういったピンチを「こういうピンチに出会えた自分は幸運だった」という視点に変換できる、といった部分などは、確かに共通しているかのように思う。
そこへ残る14人のショートインタビューを読むと、さらにそういった印象が強まるかというと、実はそうでもなくほんと、
「なるべくしてなる人が、なってるんだよなあ」
と感じてしまうのが正直なところだった。
しかしそこは博報堂。ちゃんとこの21人の企業家の言葉や環境を分析し、8つの共通する規則性とでも言うべきものを、抽出している。たしかにここまで咀嚼してもらえれば、こちらの弱いおつむにも良くわかる。
そしてその中で、強く印象に残ったのは―最後の最後のまとめになるのだが―やっぱり
「○○するべき!」
という「べき論」は、なにも建設的なものはもたらさないんだなあ、ということだった。
(本書ではこれをして「思い込みから自由になる」という項目で最後にまとめている)
これは結果的に、最近自分が強く感じていたことを裏付けてくれるような形になり、心強かった。
歯を食いしばって、「××だから○○するべき!」といっても結局そこからはなにも生まれない。
「べき論」に縛られていると、当然自由な発想は得られないし、実際、現実に起きている実態からもどんどんずれていく。
起業という、リスクの高い行動を選択する以上、そういったものを避ける、というのはある種当然なことだ。
そういう「べき論」に縛られない自由な発想―と、こうかくと都合のいい”自由”に解釈されがちだが、要は視点をずらす、というか、結局ものの見方を常に柔軟に保つということ。
自分もついつい「べき論」を好む傾向があるという自覚があるので、自戒を新たにした次第。
あと、基本的に必ず起業は二人以上でやっているのが、最近の成功例、というのは興味深かった。
考えてみればこれもあたり前というか。
「べき論」の人は、ついついあれもこれも自分で出来ねば!と思い、ワンマンアーミーというかスーパーマン化に走る傾向がありがちかと思うが、本書に取り上げられているほとんどの方が、逆に自分の出来ないこと=弱点を徹底的に明示的にして、その弱さをして、補ってくれる人との接着剤にしている、ということが、本書を読んでの大きな収穫の一つかもしれない。
自分が弱い、といえる人は実は強い人なんだよな。
その弱さに裏付けられた強さがあるからこそ、逆に自分の強み―というか最も得意なことに専念できる。
そのためには、自分が日々を楽しんで生活しているか、自覚的でなければいけない。
それが終章のタイトルにもなっている「幸福だから成功する」につながるのだろう。
日々楽しく生活する―なにはともあれ、これぐらいなら、なんとか心がけることは出来そうだ。
せめてそれぐらいは、自分も実践したいと思う。