ARCHIVES 2016 TOUR ULTRA 、Deeper and Down /SCHAFT

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年初のSCHAFTのライブ、その映像がパッケージ化されたものが出たのでレビューしておく。またその際披露された新曲2曲を含めたシングル―というか前述ライブの音源も含めたアルバム(CD)―も同時発売だったので併せてご紹介。

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一言でいうと昨年再起動したSCHAFTの2016年冒頭のライブのブルーレイと、その際披露の新曲を中心としたシングル―というかライブ音源含めたアルバム、ということになる。

ブルーレイとCD、そして一部収録曲がかぶっているので、初見の人には手を出しにくいパッケージ構成にはなっていると思う。いまざっとパッケージ見比べてみたところ、CDのほうに旧曲である『Broken English』が1曲多いだけで、アルバム音源を、というこだわりがないのであればブルーレイパッケージのほうがオススメだろう。(構成的に見てもCDのほうは「新曲2曲+旧曲中心のライブ音源8曲」ということで一昔前であればマキシシングル的なアルバムかと思う)

なによりブルーレイパッケージ=映像版のほうをお勧めするのは、ライブのレビューの時にも言及したとおもうが「シルエットだけで様になる」カッコよさというか、その画的な強力さをより堪能できるからだ。

ただ『音楽と人』のインタビューだったかと思うが「二人併せて100歳のユニット」と言っちゃってるくらいなので、後半のほうに行くにつれて動きが大人しくなって行くのはご愛敬か(笑)。しかしそういったところを含めてもやはりステージ全体に華があるというのは凄いと思う、あんなシンプルなセットなのに。

一つにはこのあたりは魚眼レンズ・・・というか360度の全周カメラかな―それを使ったアーティスティックな映像や、ライティングの瞬間を活かした細かなカット割りで見せるディレクション側のセンスの勝利だろう(もちろんステージ上の面子がそれぞれ元々画になる個性を強く持っている人ばかりというのは大前提である)。

そしてブルーレイのせいなのか、ライティングの色調のせいなのか、映像が凄く鮮明で、単純にそういった映像美を堪能できるパッケージにもなっていると思う―曲のクオリティは言わずもがな。打ち込みを多用しているということもあるんだろうがライブ的なはずしちゃった感はほとんどなく、かといって打ち込みが前面になっちゃったようなカッチカッチな感じもなく、むしろタイトでありつつも非常にバンドサウンドを感じられる演奏。総じてライブパッケージとしてかなりのハイレベルな作品の一つに仕上がっていると思う。

完全限定版と名うっているが、このあたりどの辺が限定版なのかよくわからないんだけど―ついてる写真集の有無なのかな?ただそういう特典を抜きにして単純に映像コンテンツとして見応えのある一本。なのでamazonでみると定価より値段が上がってるみたいだが、もし通常パッケージというものがあって、それのほうが価格が安いというのならそれで全く問題ないかと思う。

※ただし上記の写真集(ライブステージからのモノ)は繰り返しになるが非常に「画になる」面子ばかりのライブショットなので、正直かなりカッコイイ。写真やイラスト等を勉強している人には構図の取り方など凄く参考になるいい特典だと思う。

かわってCDのほうは当然ではあるが新曲2曲が最大のポイントである。
これも年初のライブで披露されていたもので従来路線的な『H.N.A』とハードブギーの『Deeper and Down』。ヘヴィ路線のバンドのハードブギーというとどうしてもマリリン・マンソンのそれを思い浮かべがちだが、本作ではホーンをうまく導入していることでどちらかというとスパイ映画的なテイストが出ていて、アルバム『ULTRA』のコンセプトであったスチームパンクの正しく延長線上にあるのがよくわかる。
(もともと1stの『SWITCHBLADE』のあたりから「Mission Impossible」のメインテーマを彷彿とさせるリフはあった―そういう部分も永年通して維持されているモチーフなのだろう)

ということで昨年末あたりからのSCHAFT復活の動きとしてはこのあたりでいったん一区切りということなのだろうか。今後についてのことに関していまのところまだ何も聞こえてこないようなので、このまま再度休眠ということもあり得るのかな。

ただ20年近くたって復活したユニットにもかかわらず、その音は決してレイドバックしたところを志向するのではなく、いま現在の音を踏まえたうえでのSCHAFTならではの音―他に似たものない独特な音―であったことは間違いない。なので正直ここでまた再び休眠というのも少しもったいないように感じるのは正直なところだ。

ただ今井氏はB-Tがあるだろうし、フジマキ先生もminus(-)、そしておそらく睡蓮のこともあるだろうから、正直先行き不透明であるのは言わざるを得ない。

ただこのライブ映像で見せてくれたほかの面子を含めた2016年時点のSCHAFTというのは、凄く音的にも画的にも魅力的な”バンド”であるだけに、もう少しこの面子での作品・ライブをみせてほしいというのが正直なところ。

是非次回作、そしてそれを携えてのライブを!

期待しております。

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