現代版”悪党”のすすめか(笑)。
このムダな努力をやめなさい/成毛眞
だいたい1時間ほどで読んじゃった。
”王様は裸だー!”と叫ぶ子供は珍しくないが、大の大人―それも世間からそのど真ん中と見られる立場だった人―がこう堂々と叫ぶ。
これはとても素晴らしいことじゃないか?
”悪党”というのは、ご存知中世の武士や土農のなかで、自分の実力を以って体制からの独立性を保った”強者”のこと。
初っ端から
「座右の銘は、座右の銘を持たないこと」
「我慢しない、頑張らない、根性を持たない」
と過激な文言が並ぶが、そういった言葉の装飾の枝葉を取り払うと、いまの日本の社会の病んでる原因の部分をある種ピタッと言い当てていると思う。
もし、この本を読んで「ああ、そうだなあ・・・」と力なく溜息をつくならまだしも、どこかカチンとくるようなら、その人はけっこう重度の会社依存病なので注意したほうがいいだろう。
自分も会社をやめてからずーっと考えてたのが
「”好き”ほど強いことはないよなあ」
だった。
残業も大嫌いだったし(嬉々として残業している人間は正直頭おかしいとすら思ってたので)、実のない”我慢”をしたくないからやめたわけだが、そういう意味では、少しはそういった病からは、解き放たれてはいたんだろうと思う。
が、反面、本書でいちばん下らない人間の属性とされる”無駄な努力”を好む傾向があったり、”まじめな人”的な傾向はあったりするのよねえ。
そういう意味で、本書でいうところの”つまらない、付き合うに足らぬ人間”ではあると思う。
まあ、いまこうやってある種だらだらと―自分が心底望んでしているのではないとはいえ―しているのも、そのあたりの自分に染み込んでしまったものを染み抜きできないかというあがきではあるのよな。自分に掛かっている、心理的な思い込みの”枠”をどうやってはずすか、という。
それには本書にもあるように、ぱっと思いつくような、単純な”欲望”をばかにしちゃいかんのよね。
その”我慢”は、すればするほど磨耗していく。
実は”欲望”って”=生命力”でもあるのよ。
それがここ3年ほどで気付いた一つの結論。
そら、生命力衰えた人間ばかりの住む国では、景気も良くならんし、先行きも明るくないわな。
だって”生きようとする力”を、皆自分で殺いでいってるわけですぜ?