『プライドと偏見』

標準

月極めレンタルで。キーラ・ナイトレイ美しすなあ・・・。

プライドと偏見


ジェーン・オースティンの著名な古典が原作ということだが、作品として接するのはこれがはじめて。

イギリスの、娘ばかりの貧乏貴族の子女たちが、それぞれの相手を見つけるまでのある種の群像劇だが、すごく普遍性の感じられる物語。

イギリスの田園風景と、あまり大仰過ぎない生活の描写で、和やかさと、結婚という人生の岐路のもつ、ある種の重みのバランスが、ドラマとして非常に心地よい。

本作品は、現代的な翻案と、映画という商業性が入っているので、”恋愛”的な要素がおそらく浮き彫りになっている面もあると思うが、少なくとも現代人の考えるような、”恋愛”の延長的な結婚というのは、人類史的なスパンからするとむしろレアだったんだろうな、というのがこの歳になるとわかる。
(これは『武士の家計簿』の原作とか読んでみても良くわかる)

かといって、そこに愛情が全く介在しないかというとそう言うわけではなく、憧れはもちろん、姉妹愛や家族愛といったところを含め、そういう人間の普遍的な感情というのは、変わらず存在する。

ただ、作中でもあるように当時の身分へのこだわり、というのは洒落や冗談ではなく、経済力や教養という面のフィルタリングにもなっていて、その重要性というのは、いまよりはるかに意味を持っていただろう。

なのでこれは単なる恋愛ドラマではなく、相続者たる男子がいない主人公たちの家庭では、娘の結婚相手というのはイコール、それぞれの娘たちの生存権の問題でもあったのだ。

とまあ、そんな文化的な側面はさておき、ドラマとしても非常に面白い。

なにしろ、この聡く、美しいキーラ・ナイトレイ演じる主人公が抜群だ、どこかにこんな嫁落ちてませんか?(違)

また相手役のダーシー氏のマシュー・マクファディンも不器用な感じがいい。
どことなく、トレント・レズナーに似ているのも個人的にはポイント高かった(笑)。

二人の齟齬のディティールも、いつの時代の恋愛にもある種普遍的なもので、おもわず「うんうん」とうなずいてみてしまった(笑)。いや、うまくいってよかったね。

エリザベスがラストで「私たち似たもの同士なのよ」というのも、ある種納得だ。
同質のものほど、得てしてぶつかりやすかったりする。

で、お父さん、やっぱりこの娘がいちばんかわいかったわけね(笑)。
わかる、わかる。

聡い女性というのが、聡いが故になかなか行き場のなかった時代というのは、珍しい話ではない。
そういう意味で、聡い主人公が自分に見合った真のよき伴侶を得た、というハッピーエンドで気持ちよく終わっている。

ただ、特典映像として「アメリカ版エンディング」というのが入っていて、こちらはややでろでろな感じの甘口エンディング。

個人的には、まあこれもありだが、本編どおりのエンディングのほうが重みがあって正解だと思う。

原作の既読者から、一部賛否もあるようだが、キーラ・ナイトレイの美しさだけでも十分見ごたえのある一本だった。

繰り返しになるが、どっかにこんな嫁落ちて(ry

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