先日神保町のキントト文庫で「ぐわ~!?」と悶絶してたのはこの手の本がけっこうあったから。
しかしぼちぼちなお値段だったのでそのときは手を出さず。
後日ヤフオクで格安に出てたのでぽちっとな。本日届きました。
”とてつもない距離を風のように一晩で走り、獣のように山で生き抜くあらゆることに熟達した幻の山人=サンカ”
隆慶一郎氏の小説でいうところの”道々の者”としてその存在を知り、その原型がどうもこの三角寛の”サンカ”小説に行き着くらしい、というところが分かったのがその数年後。
で、その肝心の”サンカ”小説を読む機会はなかなかなくて、それよりも先に幻の漂泊民・サンカ という”実際の”サンカについての力作を読んじゃって、ますます気にはなるもののいまだお目にかからず。
まるで本当に”道々の者”みたいに幻のようだ(苦笑)。
(というかお高いんですもの、ヤフオクでもw)
で、うすうすその”サンカ”小説というものがこのほぼこの三角寛ひとりに始まり三角寛ひとりに終わる、ということからこの三角寛、という人物が与えた影響―というかこの人物そのものがある意味”サンカ”小説そのものらしい、ということも、およそは見えていた、その傾向―というか性格も。
その三角寛の名が巻頭に出てりゃそりゃ気にもなりますわな。
なのでぽちっとなした次第。
(ワンコインでしたので)
まだ巻頭の三角寛の婿・娘ご両名のインタビュー部しか読んでないんだが、なんとなく見えてくるところはあり。
そう、幻の漂泊民・サンカ のほうが”実”のサンカ像だとすると、世間にはこちらのほうが広く流布しているだろうこの三角氏のサンカ像のほうが実は”虚”。
それが悪いというわけじゃない―むしろだから面白い、というか。
この本は他にも中上健次や五木寛之とかの名前が入った記事がどっさりなので、けっこういい買い物だったかもしれない。
こういう民俗学的なジャンルというのはそういった妄想の入り混じったロマンが実際の研究などの大きな原動力になり得るのは疑いのないところ。それ自体は悪いことじゃない。
ただその出口・・・というか出し方にはデリケートさ、というかまっとうさというのはまちがいなく必要不可欠であろう。
そのうえで。
こうなるとますます三角版のサンカ小説が読んでみたくなる。
たぶん読めばなんてことないと思うんだろうけれども。
まあしかし前述のようにそう簡単に読める機会もなさそう。
なのでその収まりどころのない気持ちを、隆氏の小説でも読んでしばしなぐさめますか・・・。
・個人的にはコレなんかおすすめ。ちょっとジュブナイル的な色もあっていい。
・一冊でまとまってるという意味ではサンカ色は薄いがこれなんかも大好きだなあ。
・あと未完+タイトルから想像するのと違ってめっちゃストイックなコレとかも。