個人的VRまわりのガジェットまとめ

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ほんとはもっと購入していた6月前後で紹介しておきたかったんだが、なかなかタイミングとれなったが、意地でも年内にご紹介しておく。

昨今なにかとVRまわりが取り上げられることが多かったと思うが、その割には実際にそれを実地で経験されている方はまだまだ少ないと思う。が、おそらく近いうちにイヤでもこういったものは生活の周りに入り込んでくると思うので、その際の判断材料のひとつとでもしていただけるとこれ幸い。


■手軽な導入機・Oculus Goの登場

まず今年なにより大きかったのはこのデバイスの登場だと思う。

Oculus Go - 64 GB
Oculus Go – 64 GB

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パッと見れば「これがいままでのVRヘッドセットと何が違うの」となるかもしれないが、最大のポイントは「無線」であるということと(今でもハイエンド機の多くは有線仕様)「かなりの低価格」(この手の商品としては)ということに尽きる。で、結局このデバイスってなにかというと「仮想360度用の表示に特化したAndoroidスマホ」というのが実体かと思う。

かといってその体験できることが(巷で売られてるVR箱みたいに)しょぼいわけでもなく、専用ハードウェア的なハードルの高さもない―なによりそのおかげで低価格化できたという点が特筆すべきところだろう(ふつうに考えて独自開発なら2万円台でこういった専用デバイス成立しないと思う)。

で、このOclus Goでなにができるかというと、このヘッドセットを被ることで体(頭)の動きに合わせた360度の視界で表現された映像・ゲーム等のコンテンツを体験できる、ということ。

こう書くとどういうコンテンツがあるかピンとこられない方も多いかと思うが、いちばん手軽なところではYoutubeの360度対応の動画など、その場にいるような臨場感をもった動画だろう。個人的にはNHKがYoutube上にアップしていた今夏の台風被災地のドローン映像など、このVRならではの視覚体験ができる。(これはうまい使い方だと思った)

こういったフリーで楽しめるコンテンツは意外と多くて、少し視聴方法にコツはいったが、以下の動画などはすごく今後の可能性を感じさせてくれるものだった(360度視界+3Dを体験できる―ただし高解像度で見ないとだいご味が薄れる+そのために高速通信回線必要)

(1:30秒当たりの瞳のアップ~内部視界へのあたりは本当にまじかにまで迫ってくる感じがあるので見ごたえがあった)

で、そういったフリー映像ばかりでなく、専用のコンテンツもいろいろ用意されていて、スマホ上の専用アプリからダウンロード・購入が可能(その後同一アカウントで稼働する本体のほうに自動的に反映)。デフォルトで用意されている自室を模したラウンジ(Oculus Room)など面白いのだが、友だちいないぼっちの自分には時々窓からの景色眺めるぐらいしか使い道がなかった、はっはっは(泣)。(このアプリは部屋の模様替えできたり、ネットラジオ流したり、友人を招待してVR上での簡単なボードゲームなどができる)

個人的に一番値打ちあるな、と思ったのは映画館を模した動画視聴アプリ。これはこのOculusGoのローカルストレージにある(スマホ等でとった)通常の2D動画を再生する際のメディアプレーヤーということだと思うんだけども、周辺のビジュアルが映画館のそれになっていて、本当に映画館で見ているような体験ができる。その臨場感はぜひ一度体験いただきたいところだが、市販のコンテンツをこのアプリで利用する際のハードルが高いのがやや難点か(基本個人で録画しているものを使うしかない)。

これは実は本デバイスに対応している映像配信サービスの専用アプリ(Netflix等専用アプリがある)への配慮ということかもしれない。ただNetflixのアプリなどは用意されているのがちょっとゴージャスな個人宅のビジュアルだけのようなので、前述のような映画館のビジュアルよりしょぼく感じる。

ゲームもいくつか試してみたが、自分がおっさんなせいもあって、あまりピンとくるのは少なかった―ジェットコースター系とかは視覚的には面白いがコントロールできることに限界あるので数回であきる。スルメ的に楽しめたのは有料アプリだったがアーチェリー。ただこれもどうしても機器的な精度の問題で厳密なコントロールには限界あるので、その点は(単純で面白いだけに)若干ストレスを感じた。ほかにはフルトラッキング対応(全身の動きを感知できるセンサー同梱)の上位機種ならbeatsaberという面白そうなアプリがあるのだが、残念ながら本機種ではプレイ不可。しかしこのゲームにはいろいろ可能性感じられるのでいずれはなんらかの形でプレイしてみたいところ。
(けっこうな運動量になるそうな)

(映像中は音楽ボリュームちいさい→音大きめの別ユーザーの動画

で、個人的に一番可能性を感じているのがまだ試せていないんだが、バーチャルデスクトップというアプリ。要はVR空間上で自PCを操作できるというアプリ。このアプリの最大のメリットはなにかというと、空間的な制約を(ある程度)とっぱらって自分のPCを操作できるということ。つまり物理的なディスプレイの大きさに縛られず(仮想上の)ある程度大きな画面でPCの操作ができるらしい点。もちろん解像度や無線接続ならではの処理系の問題(遅延や接続断など)はあるだろうが、これで狭い部屋でもかなり物理的な制約から解放されるのではないか。なにより背景をある程度カスタマイズできるので、わざわざ喫茶店に出かけて行かなくとも自宅で喫茶店で作業しているようなことも可能では?と勝手に期待している(笑)。※アプリ自体は最近ようやくこのOculusGoに対応したので購入済みではあるがまだ実地で試せてないのだ(泣)

VRにPC画面を再現「バーチャルデスクトップ」Oculus Goに対応
https://www.moguravr.com/virtual-desktop-mobile/

ここまで簡単に使ってみて、あまりディープに使わないタイプのユーザーさんにとってこの手のデバイスの最大のメリットは何かと考えたときに一番にいえるのは実は単純に

「大きな視界」

ということかもしれない(で、その「大きな」のなかには「自由度」―視野の制限がない―ということも含まれてる、と)。

■360°カメラ・Ricoh Thetaとの組み合わせ

で、ここまでは非常に受動的な使い方のご紹介だったが、これをこちらでもう少しアクティブ(能動的)に使う方法はないのか?

VR界隈では能動的な使用方法のひとつの頂点はVRChat(3Dのアバター使って仮想空間でできるチャットルーム)や、やや広く語義をとらえると本年大流行したバーチャルYoutuber(VTuber)などがあるが、どれも一般人にはハードルが高いし、実用・・・という意味ではまた少しニュアンスが異なる。

可能性を感じるのは、身体的なハンデがある方への利用(前述の映画館を模したメディアプレイヤーなどすごくいいだろう)と思うが、それもまた別の意味でカジュアルな使い方・・・という感じでもないし。

そこで個人的に使ってみたこともあるからでもあるが、現時点で一番単純に使いやすいのはいわゆる「360度カメラ」との組み合わせではないか。

RICOH THETA V 360度カメラ 全天球 910725 メタリックグレー
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このRicoh Theta、今年の5月ごろに実家を一部改装しなければいけない事情があって、改装前の状態を記録に残しておくために急遽購入したものだったが、結果的にOclusGoとの組み合わせでいろいろできることが分かった。

まずこのTheta自体は360度全天撮影のできるカメラ。静止画はもちろん動画の撮影も可能だ。ただこの360度写るというのは自分のようなキモくてカネのないおっさんの本体も当然のように映り込むので、その点が弱点なのだが(泣)、実はOculus Goと組み合わせると面白い使い方ができる。

まずThetaで撮影した360°動画をGoへ転送し、Go上で再生する。Goは実は現時点で見ている視点をローカルに録画できるので、Goを被って再生中の360°動画が動かした視線にあわせてカメラを振ったような2Dの通常の動画として録画される。

これどういうことかというと、撮影した現場をあとからどうにでも再撮影できるということ(ただしズーム・カメラ自体の位置移動は理論上不可)。なので、とりあえずThetaでざっくり360°全域撮影しておいてGoを使って自宅でじっくりと撮りなおすということができると思う。


↑一例として自分が試したもの。Oculusの内部ストレージに転送しておいたThetaで撮影の360°動画を選択・再生してみたもの。途中からの池の周りの映像でのパン動作はすべてOculusかぶってるこちらの頭の動きそのものが反映されている。偶然に水面のカモを狙っている野良ネコが映ってくれているが、この時三脚立てて固定していたThetaとネコさんの距離はおそらく1~2mしかない。普通にカメラを構えていてはこういうのは普通撮れないかと思う。(警戒されて)

ただちょっと残念なのは(ハードウェアスペックから考えて当然ではあるが)元を4Kで撮影してもGoを使って切り出しするとある程度解像度は落ちるということ。
(もともとTheta自体が360°という普通より情報の多いデータを、360°専用でない通常の2D用デバイスで記録していると思われるので、当然そういうところも関係していると思う)そう、実はこういった編集云々を抜きにして単純に再生デバイスとしてみた場合は、実はOculus Goはそんなに解像度高くない。なので実はGoは実写系のデータ(ビデオカメラの動画や360度静止画の写真)を扱うには解像度の点で実はあまり相性がよくない(これはGoだけの問題でなく、Theta自体の構造と解像度の関係も影響している)。

しかしそれを抜きにしてもこういう2Dでの再撮影や全方位を確認できるという部分の楽しさは、いまのところほかに選択肢がないと思うので、実はそんなにくさしたもんでもない。

ただ昨今のハイレゾな画面表現が当たり前な皆様には、そういった感覚的な楽しさという切り口で楽しめないという方もいるかと思う。そういう方々は、こういった実写系でなくやはりCGI(Computer Generated Image)ベースのコンテンツ=要はゲームやCG系のVRコンテンツを意識的に選ばれたほうがよいだろう。(こちらのほうではほぼそういったことは感じないと思う)

■今後のVRまわりのガイドとして

今後のVRまわりのガイドとして以下の書籍を紹介しておく。
本書も今年の春先に出版されていて、ご紹介遅きに失した感バリバリなのだが、著者であるGOROman(近藤義仁)氏がこのVR周りの最も注目度の高いエバンジェリストであり、2018年度のOculus周りのムーブメントに大きく影響を与えられていた方である点も重要だ(氏はこれ以前からもこのVR周りに注力されている)。自分もこの方のツイートや周辺情報みてOculus Goの購入を決めた。

一読されるとそのスピード感に驚かれる方も多いかと思うが、これぐらいでないとIT系のベンチャーやる意味ないんだろうな、ということを強烈に見せつけられた感じ。こういう速度感を知っておくだけでも本書は目を通す価値があると思う。

ミライのつくり方2020―2045 僕がVRに賭けるわけ (星海社新書)
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ということでかなり荒い紹介となったが、このVR界隈は今後かなり面白そうな展開が待っていそうなので、興味のある方はいろいろとアンテナ張っておかれることをお勧めする。来年初頭にはこのOculus GOと上位機種の間を埋めるOculus Questという機種(本機も無線接続)がアナウンスされているので、これからが実は一番いいタイミングかもしれない。楽しみである。

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