先日からウチのアパートが外装リフォームとかで外でトンカントンカンやってる。音はまだいいんだが塗装が始まるとさすがに毒ガスでいぶされた状態で部屋でちまちまやることもできず、かといって猛暑の中街中をうろつくわけにもいかずおもわず映画館へ退避(笑)。
ずいぶん長い期間をおいての続編。前作は大好きな一本だったが、手元にDVDとかももっていなかったのでさすがにディティールは忘れた(笑)。
しかしそういう細かなところを覚えていなくてもそのまま見て楽しめる痛快な一本。久々にピクサー作品見たがピクサーがいいのか、それともこのブラッド・バード監督の腕か―ともかく楽しかった。
テーマ的にも昨今のトレンドでもあるポリコレというか男女平等というか―それをこのいかにもアメリカンマッチョなビジュアルのお父ちゃんが主人公の作品でやる―それもかなりうまくさばいているというのも、製作者側の底力のようなものを感じる、すげえなあ。
今回は邦題が「~ファミリー」とあるようにより主人公一家のそれぞれにスポットライトを当てた感じ。かといって(いちおう主役?の)お父さん・Mrインクレディブルも活躍しないわけではなく、ただその活躍が悪役を倒すことにではなく育児に主に向けられているという(苦笑)。ある意味今はやりのポリコレやSJW(ソーシャルジャスティスウォリアー)的なところへ寄せたといえなくもないが、本編を見る限りそういった運動に付きまとう不健康さはみじんもなく、ある意味非常にまっとうなこの2010年代ならではの「ファミリー(家族)」の映画だった。
そういう筋立てのため、今回は前半は奥様であるイラスティックガールにスポットがあたり、かなりの部分でヒーロー的な活躍は彼女が担う―しかしそれが壮快でカッコいいこと!前作を見たときにはこの「イラスティック」の意味が分からなったんだけど、その後液タブを使うようになってわかりました!「イラスティック=エラスティック」で「エラストマー」素材のことなのね(弾力性があってよく伸びるゴム素材の一種、スタイラスの芯などにも使われる)。
そしてもう一人スポットが当たるのがお年頃の一人娘・バイオレットちゃん。彼女が今回すごくいい味出してて、ある意味おいしい(かわいそうな)ところを全部持ってってる。気になるボーイフレンドの記憶消されるわ、その彼の前で鼻から水吹くわ、失恋して落ち込んでも腹は減るので透明状態になって冷蔵庫あさるわサイコーにキュートでした(笑)。
上述のように今回はどちらかというと女性陣のほうにスポットが当たるシナリオだが、逆に言うと普段女性陣が担当しているところをお父ちゃん・インクレディブルが全部ひっかぶるわけで、そのあたりの描写も楽しかった(算数の問題が昔と違う時方で「なんで昔と変えるんだ!?」と切れるところも独身とはいえおっさんの自分としてはある意味共感w)
なので少し乱暴にざっくりいってしまうと、普段(前作)と表裏ひっくり返したような見せ方の一本といえるかも―しかしここがこの監督の素晴らしいところというか、表裏ひっくり返しても、その元々の本質はなにひとつ変わっていないというか、クライマックスには家族がそれぞれにそれぞれの得意な能力を使ってヒーローとして問題に立ち向かっていくところがすごく自然な流れで描かれいてる。要は役割分担がたまたま変わっても家族の本質は変わらない、本当の家族ってこういうことじゃない?という感じが理屈ではなく物語の流れとして素直に感じられてとても素敵だった。(すくなくともここには前述のようなポリコレやSJW的な狭隘な感性は微塵もない)
本作をみたことでまた前作を改めて見直してみたくなった―というかピクサーの一部の作品(ベイマックスとか)はすごく作品とそのテーマ性とのバランスが絶妙だと思う。このあたりはほんと素晴らしい。
ただ一点だけ気になるところがあったとすれば、その描写とか演出方法がほとんどハリウッド実写のそれとそん色ない―というか同一フォーマットなんだな、というのは強く感じた(特に前半)。このあたりは昨今のマーベルやDCのリブート系作品がどんどん量産されているので余計目立ったのかもしれない。このあたりの演出スタンスは鉄板なんだろうなとは想像は付きつつも、せっかくアニメ作品としてやってるのなら、そこは少しもったいないかもな~とは感じた。(逆にいうと本作はそのCGのモデリングをリアリスティックに変更するだけで実写作品にすぐできちゃう感じ)
しかしそういったところもクライマックスの洋上のヒーローたちがそれぞれの能力を使った戦闘のシーンにまで来るとあまり気にならない―というかここでようやくコミックらしい楽しさがストレートに出てくる感じ。(念のためにいっておくと、そこまでも全くクオリティ的に問題なし)
で、最後はまたバイオレットちゃんの恋がどうなるか?的なシーンをフックにしつつ、戦いはまだまだ続くのだ!的なエンディングなので、次回作にも期待したいところ。正直クオリティイ的なところが維持できるのならちょっとしたテレビドラマシリーズにしてくれても見たい感じ。それぐらい本作品はそれぞれのキャラが立っていて楽しい。ちょっとまた機会見て前作も見直してみたいところ。
※余談になるが、本作のヒーローの描写観ていて「ああ、これなら一部で噂されている日本製ヒーローものアニメ(Tiger&Bunny)のハリウッドリメイクも成功するかもな」と感じた。タイバニはちょろっとしか見たことないんだけども、世界観的に本作はまさにあの感じと非常に近似した世界観を感じましたよ。
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