これはぜひ見ておきたい展示だったので先週末に観にいってきた@文京区弥生美術館。
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平田弘史御大はその熱の込められた画風で知られる時代ものの劇画の大家。自分も若いころはそんなに意識はしていなかったんだが、おっさんになればなるほどそのすごさというかその熱苦しいまでの作風がどんどん好きになっていった。そしてその熱苦しさの大切さというのも一回ひっくり返って大事なことなんだなと最近ようやくわかってきた感じ。
平田作品を御存じない方は以下で読めるので一度ご覧になってみるといいだろう。思えば自分が平田作品を明確に意識するようになったのもこの竹熊健太郎氏による電脳MAVOの前身である「たけくまメモ」だったような気がする。
『平田弘史傑作選』(電脳MAVO)※index
http://mavo.takekuma.jp/title.php?title=42
『茶筅髷禁止令』(電脳MAVO)
http://mavo.takekuma.jp/pcviewer.php?id=641
「平田弘史先生訪問記」(全)(たけくまメモ)
http://memo.takekuma.jp/?p=5651
今回実際にその肉筆原稿を見てきて感じたのは、この豪放磊落に見える力強い描線も、現物ではものすごく繊細かつ緻密に描きこまれているということ。これはちょっと比較するのには適切ではないかもしれないが西原理恵子大先生の原稿を見たときにも同じことを感じた。
とはいえ、思いっきり行くべきところは思いっきり行っているのも感じられて、まさに緩急自在というかため息出っ放し。
また今回いちばんその素晴らしさを感じたのは、その墨書された各作品の題字!
ご自身の作品だけでなく、けっこうな数の著名作品の題字が平田先生によるものとあらためて知って驚愕したのはもちろん、とにかくその書跡がみていてなんと心地の良いことか・・・。これ額装されて売られていたら思わず後先考えずにふらふらと買ってしまいそうなぐらい素晴らしかった。この筆跡を見るだけでも入館料がチャラになるぐらいの価値があると思うので、時間のある方はぜひ実際にご覧になってみることをお勧めする。
自分は電書でいくつか先生の作品を持っているのだが、今回やはりその実物の凄まじさに当てられて会場で以下も買ってみた。いや、この作品未見だったんだが、こんなに面白いプロットの作品だったとは!
リイド社 (2017-01-30)
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ということでいろいろと唸らされた個展だったが、惜しむらくはこれだけの作家であるのにけっこう版元がバラバラで出版されているようで、アーカイブ的にそろえるのがなかなかむつかしいというのは歯がゆいところ。ぜひ全集などを一つの版元から出していただきたいものだが・・・。
来月末まで会期はあるようなので、時間のある方はぜひご覧になってみることをお勧めする次第っ!
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