『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』/岸見 一郎・古賀 史健

標準

ずいぶん前に読みはしていたんだけれど、ついついレビューするタイミングを失ってた。
最近出た続編も目を通せたので読書記録の意味でとりあげておく。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え
岸見 一郎 古賀 史健
ダイヤモンド社
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幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII
岸見 一郎 古賀 史健
ダイヤモンド社
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欧米では心理学の三大巨頭の一人ともとらえられることのあるアドラーの心理学―しかしその難解さがネックとなり国内ではいま一つ巷間に知られていない。本書はその難解さをある哲人と若者の会話形式とすることによって読者により身近な存在としてのアドラーの考え方を紹介するシリーズ。その穏やかな語り口に反して、そこで語られている内容は人によってはかなりの衝撃を受けかねない、ある種人の心理の核心に情け容赦なく切り込んでいる劇薬ともいえるシリーズ。


めずらしく『嫌われる勇気』の方は何度も読み返すことになっている。それだけ人間のある種の真実に触れた内容だからだろう。内容をここで改めて紹介はしないが、本書は機会があれば読んでおくと―その受け止め方はどうあれ―読者に何かしらかの変化をもたらすモノを含んでいると思う。
(ただ正直なところメンタルを病んでいる人にはオススメしない―ある意味キツすぎるからだ)

ここに書かれている一部の結論には自分もある種同じような感覚として到達してはいたが、ここまで激しく容赦なく自覚を迫るようなレベルまでには達していなかった―どちらかというと本書のそれに比べて自分のそれはあきらめ=諦観の感覚に近かったように思う。しかしそれがある種人間であれば誰しもが持ち得るひとつの真実であるのなら、その諦観はもう少しポジティブにとらえてもいいのかもしれないと思えたのはありがたかった。

本書はある年配の哲人の元を若さ故のエゴに苦しむ若者が訪ねその両者による対話形式で進行する。そのため一見読みやすくはあるが、ここで読者がうなずいた各々のアドラー心理学ならではのモノの捉え方は、実は読むたび読むたびにその深さを増し、その様相を変化させるように思う。逆にいうと、それだけ日々の生活の中で本書にあるような凛とした―それでいてある種の醒めたような感覚を持ちながら日々の生活を送るのはなかなか難しい側面があるということだろう―人はえてして易きに流れる。昔読んだあるマンガで「悟りは一度開いただけで満足するのではなく 何度も何度も新たに悟り直すことが必要」的なシーンがあったんだがそれに似てるかもしれない。

特に人間関係において相互の距離感が近くなれば近くなるほど、そういったポジティブな意味での醒めた感覚的なものを維持するというのは、なかなかシビアではあると思う―若い方ならなおさらだろう。
(自分などは悟るというよりも現実に報われたことがなかったので自ずとその境地にならざるを得なかった感じだ)

原因を目的論としてとらえる視点や、課題の分離など、改めて言葉でしめされると目の開かれるようなキーワードが並ぶが、それも都度都度その認識を深化させていくことが必須なんだろうな。

ただそういうふうに難しく考えたり、本書に書いてあることをすぐに実践できなくともあまり気に病むことはないだろう。なにしろここに書かれていることを実践していくにはやはり長い時間を掛けた日々の思索とその実践が必要だろうから―それだけのものがここには含まれているような気がする。

ということで比較的簡単に読めた割にうまくレビューが書けない(苦笑)。
繰り返しになるがそれだけのものが込められている・密度があるということだろう―その平易な言葉遣いと相反するかのように。

以上、とりとめのないまま一応記録の意味で書いておく。
まあこんな文章しか書けないというのはいまだここに書かれていることを十分には昇華できてないということだろう(苦笑)。

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