いや、さすがに虫はちょっと(苦笑)。
『ダンジョン飯 2巻 (ビームコミックス)』
どうやら巷でもけっこう好評で知名度もあがってるらしいのかな?こういうファンタジーでありつつも地に足がついた感じ(その逆といってもいい)の作品が世に知られるというのはいいことだと思う。というかなによりすこぶる面白い。
本巻は前巻に比べるといわゆる理数系ギャグ作家的なテイストの描写は減り、どちらかというとより王道のRPG的な描写が増えているような印象。これはひとつには前巻で世界の紹介的なパートを終え、よりパーティとしての結束=各メンバーの思いやそれぞれの人間関係の部分に描写が割かれているからだろう―ライオス一人は相変わらず寄生剣の触角に萌えてるようだが(苦笑)。
また本巻ではそういった人間関係の描写と並行して、ダンジョン飯の”飯”の部分となる、ダンジョン内生物の生態も変わらずきっちりと描写していてそのうんちく的なところが相変わらずすこぶる面白い。
こういったRPG的な世界では定番のミミックがあんなヤドカリみたいなしっかりとした脚とはさみをもってりゃ、そりゃゆでればうまそうですわな(笑)。
そして個人的に萌えポイント高かったのはなんといってもゴーレムの描写だろう、こういうある意味哀れな(笑)ゴーレムって初めてじゃないか?そしてそれに絡めた巻末おまけマンガのゴーレムデバッグのデスマーチ進行には笑いを通り越して深くうなずきつつ涙するしかないIT関係の皆様は多々おられるのではないか(号泣)。
あとこの発想はなかった・やられた!と思ったのは除霊ソルベw
「ほんとだ おいしい」「すごいさわやかな味」ってなんだよw
反対にちょっとごかんべんだったのはコイン虫系。あれはその場にいたら喰わざるをえんだろうけど、できればご勘弁願いたいな~。
で、今回そういった食べ物以外でも1エピソードあって、ケルピーから石鹸を作る話があるんだが、これが本巻の白眉だろうか―ストーリーの物悲しさや、それによって生まれるささやかな一つの絆や、センシのふわっふわの髭や(苦笑)。
赤い竜に喰われたライオスの妹・ファリンの救出というリミットがあるので、あまりダラダラと話は進まないとは思うけれども、もっといろんなダンジョン内の景色をこの一行と一緒に楽しみたいというか―本来RPGの持ってた根源的なおもしろさ・たのしさってこういう「冒険」だったと思うのですな。
そういう意味で「ご飯」というこれまでスポットライトを当ててこなかったファクターを前面に押し出しているとはいえ、本作はある種RPG的な世界の系譜における正当かつ王道な後継者だろう。そりゃドラクエが国民的なゲームであるこの国で人気が出ない方がおかしいわ。
※個人的に若干物足りなかったのはマルシルちゃんのドジっ子成分(苦笑)。この娘がもっとやらかしてくれるのをどうも期待しちゃうんだよなあw
※2022/06 標題の表記を統一、リンク切れを修正