ハトとネコ/劇団イヌカレー ポメロメコ原画展@space caiman

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以前も取り上げたが、劇団イヌカレーのコミック作品『ポメロメコ』の原画展が前回と同じく神田のspace caimanで行われてたので観にいってきた。




公式サイト


基本的に単行本ポメロメコをベースにしているので展示のベースとなっているものは変わらないのだが、このユニットの特徴でコラージュや立体物としての展示作品がメインとなるので、その展示方法やコラージュ手法が変わっていて、今回も楽しめた。というか基本的にこのイヌカレーの物理的な作品というのは都度その姿を変えるので、ある意味その「作品」を体験できるのはその日・その時・その人だけの個人的な体験、ということができるのかもしれない。自分はまだ見れていないのだが、同じく浅草のparaborica – bisでも同時開催していて、こちらで以前行われていた『暗闇展』などはおそらくそういった傾向がもっと強かったのではないかと推測する。



このユニットはアニメーションといっても日本国内での主流とは異なるシュバンクマイエル的なストップモーションやコラージュといった系統が色濃く出ている作家性なので、お高い意味ではなく「芸術性」を強く感じられる作品群。一時期現代芸術としてのサブカルを村上隆氏がマネタイズしようとしてオタク界隈から一斉に叩かれていたが、(氏の志はともかく)それはその作品の主語が「マネタイズ」にあったからではないか。この劇団イヌカレーも前述のようにコラージュや立体物の作品が多いので、この展示でも作品はその場でけっこうな値段で販売されている。しかしそういった状況を見ても一向に違和感を感じないというかむしろ「自分も十分なお金があったら全部買い占めたいぐらい(笑)」と思うのは、やはりその作品性・作家性が唯一無二の独特のもの=金額に見合った価値を持っているからだろう。主客転倒していないのである。その点に気付かせてくれたのはなかなか面白かった。



ここ数年、こういったアニメ・コミック的なサブカル界隈の作家の展示を画廊などでやることが多くなってきているようだが、ある意味それが当たり前の流れに「ようやく」なってきたともいえるだろう。この流れはそういった作家性・個性がないと、生き残れないぐらいこの界隈の市場が規模・クオリティともにハイレベルである、熟成されてきている具体的な証拠だと思う。そしてそういった作家の作品が「美術品」として扱われていくというのは自分は決して悪いことだとは思わない。そういったことを強く感じられる展示だった。



ちなみにこのspace caimanはこの手の展示スペースにしてはなかなか小ぎれいで威圧感の少ないよいスペースだと思う。なのでこういったサブカル界隈の美術的な水準を体感しておきたいという方は本展示にぜひいちど脚を運んでみられることをお勧めする。今現在、日本のサブカル界隈の表現力の底の広さのようなものを感じられるだろう。

3月半ばまでの会期のようなので、時間のある方はぜひご覧になってみることをお勧めする。

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