先日リリースされていたので遅ればせながらレビューしておく。
こういう形でのリリースになるとは想像していなかったが、いちおう独自のスピンアウト作品ではなく、かなりこのシリーズのコアとなるメンバーの監修・協力を得て制作されているまっとうな「本編」の一部を成す作品といってよいかと思う。
『魔法少女まどか☆マギカ[魔獣編] (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)』
実は掲載誌である『きらら☆マギカ』は目を通していて(インタビューと『まどか☆えんがわ』目当て)連載でも読んでいたんだが、こうやってまとまったほうがはるかに分かりやすい。
時系列としては最初のテレビシーリーズ12話での世界改変後のタイムライン―ほむらがまどかのリボンを握りしめて「まどか・・・」と涙するあのタイムラインと思われる(事実本作品中でもあのシーンの前後がどういう時系列なのか含めて描写がある)。
で、すごいなと思うのがさすが原作スタッフの名義であるmagica quartet絡んでるらしいだけあって、あのヒリヒリするというか不穏な感じが全編にわたって存在するのが素晴らしい。詳細はネタばれになるのでここでは書かずにおくが、この1巻目でも早くもあのキャラクターが早々に退場してしまう。
(で、例のシーンへとつながるようなのだが、なんかその後再度登場しているしな―このあたりのいい意味での構造の複雑さもまどマギらしさ全開である)
掲載誌の購読理由の一つにスタッフのインタビュー目当てと書いたが、そのなかでの新房監督のインタビューから推測するに本作は「あの強力な魔法少女であるはずのほむらがなぜインキュベーターの罠に陥れられたのか?」までを描くのではないかと思う。
これまでTV,新編とコミカライズを担当してきたハノカゲ氏はここまで全作きれいに3冊でまとめてきているので、本作もそのあたりで収まるのだろうか。
描写力は最初のTVシリーズのコミカライズ時からは比べようもないほど上がっているし、どうも登場している魔獣のデザインもイヌカレー原案あるようなので、間違いなく安心して楽しめるように思う。
秋口からの制作会社シャフトの「MADOGATARI展」で次回作へのパイロット(イメージ)フィルムも出ているが、某所でアップされていたそれをみると、明らかにこの「魔獣編」とは別のタイムライン・時期/時間かと思われるので、いい意味で本作がその補完を担うということなんだろう。
少しづつではあるが「次」への動きが出てきているようなので、本作を楽しみつつ続報を待ちたいところ。
※2022/06 標題の表記を統一、リンク切れを修正